ペットの白内障
こんにちは!
よよ輔です。
今日の話題は、白内障です。
皆さんは白内障ときいて何を思い浮かべるでしょうか。
目が白くなることは知ってるけど、どうして白くなるの…?
放っておくと目が見えなくなるの…?
動物が白内障になったら病院に行った方がいいの…?
病名はきいたことはあるけれど、そんな疑問を持っている人も多いと思います。
では、実際に白内障とはどんな病気なのでしょうか。
①白内障ってどんな病気?
まずは目の構造の話を少し書きます。
上の図の、水晶体という部分に注目してください。
この水晶体は、下のような組織です。
✔厚さ約7㎜、直径約10㎜(犬の場合)
✔血管、神経は通っていない
✔目に入る光の調節や屈折を行う
この水晶体の、水溶性タンパク質と不溶性タンパク質の割合が変化し、不溶性タンパク質が増加することで、白濁して見えます。
このことが、”目が白くなった”という状態です。
◆いつ発症する?
発症の時期としては、以下の3つに分けられます。
1)先天性…生まれつき
2)若齢性…6歳以下で発症
3)老齢性…6歳以上で発症
白内障というと年を取ってからの病気、というイメージが強いと思いますが、若い動物でも白内障になる可能性ももちろんあります。
◆どの程度進行している?
1)初発期…混濁の始まり。老齢性では核から混濁する。
2)未熟期…混濁が進行。眼底反射はある。※緑内障発症のリスク
3)成熟期…眼底反射が消え、目が見えなくなる。
4)過熟期…水晶体のタンパク質がなくなる。
眼底反射というのは、動物と目が合った時に目が黄緑色に光るアレです。
目が白く見えたからといって、いきなり目が見えなくなっているわけではありません。
しかし、成熟期白内障まで進行してしまうと、動物の視力は失われてしまいます。
少し難しく分類しましたが、実際獣医さんに診てもらうと、上のような言葉で診断されることも多いかと思いますので、なんとなく頭に入れておくとイメージが湧きやすいと思います。
ちなみに、犬に比べて猫の白内障は非常に少ないです。
注意すべきことは、
★若齢性白内障は進行がとても速く(1週間で目が真っ白になってしまう例も)、緑内障やブドウ膜炎など他の目の病気を併発することが多い
ということです。
特に若い犬で目に異常が見られたら…
(最近目を痛そうにしている…!)
(目が赤くしょぼしょぼしている…!)
まずは早めに病院へ相談に行ってみましょう。
②白内障ってどうやって治療するの?
では、動物病院に白内障の動物を連れて行くと、獣医さんはどんな処置をしてくれるでしょうか。
軽度の白内障であれば、点眼薬が処方されます。
主に含まれる成分は下のようなものです。
◆ピレノキシン…水晶体の水溶性タンパク質のはたらきを大きくする
◆グルタチオン...抗酸化作用
視力がなくなってしまったような場合では、手術が行われます。
◆白内障手術…超音波で水晶体を砕き、代わりにレンズを入れる
注意すべきことは
・100%視力が回復する手術ではない
・手術後には1日4回ほど点眼治療を行う必要がある
・手術後約一カ月、エリザベスカラーをつける必要がある
・片眼約40万円の費用がかかる
・他の目の疾患がある場合、白内障手術適応外となる可能性がある
手術をすれば視力は回復するかもしれませんが、出来れば点眼治療で済ませたいところです。
目が白くなることは知ってるけど、どうして白くなるの…?
放っておくと目が見えなくなるの…?
動物が白内障になったら病院に行った方がいいの…?
この記事で少しでも白内障に関する疑問が減ったでしょうか。
飼っている動物が白内障になったからと言って、すぐに目が見えなくなっているわけではありません。
しかし、進行すれば視力は失われます。
軽度では点眼薬で治療しますが、視力の回復には手術が必要です。
そして合併症が起これば、出来たはずの手術も出来なくなる可能性があります。
初期症状を見逃していたために、緑内障を併発してしまい、手術で視力が戻るはずだった白内障が手術適応外になってしまった……
そんなことにならないように…
よくある病気だからと油断せずに、よくある病気だからこそ、初期の段階で獣医さんに相談してみましょう。
そしてどの病気でもいえることですが、初期の段階で病気に気が付くためには、
とにかく動物の様子を観察してあげてください!
白内障について、少しイメージが具体的になったでしょうか?
今日はこのあたりで終わりたいと思います(*^-^*)
追記:何人かの方から、ブログ楽しみにしてる!との声をいただいてめちゃめちゃ嬉しいです!少しでも多くの人に、獣医学ってこういう勉強をしてるんだ~、と興味を持ってもらえるような記事を続けていこうと思います。